2010年7月アーカイブ

長々と正岡子規を読んだ後、私は、ジョルジュ・ペレックの「煙滅」
読み始めた。
原語ではe抜きで書かれ、日本語版では、い段抜きで書かれている。
失踪した男と失踪した「文字」のミステリー。
ちょっと分厚くて、値も張ったので迷ったけれど、
買わないと損すると思い、まだ寒い2月頃に新宿のブックファーストで
買った本だ。
読み始めて、主人公の幻覚がカサーレスの小説の場面に似ている
という部分で、私は、途中まで読んで、知っている、これは知っている、
何か読んだことがある、でも、カサーレス?はて?
あ、アルフォイ、ビオイ、カサーレス。と記憶の底から呪文のように
湧き上がってくる名前。
でも、タイトルが思い出せない。
独身者の機械みたいな、そんな・・・と思いながら、
アマゾンで調べるとあった。「モレルの発明」である。
私の本棚で世界が一つになる、ボルヘス、ボルヘスと
夢うつつの中で唱えていた時代
を懐かしく思う。

そして、ウィキクオートの「ロシアの諺」が面白い。
「H」の項目に、
哀れなマカールに松ぼっくりがみんな落ちてくる
という諺があり、にやにやしてしまう。
マカールに松ぼっくり。図として、これがロシア的なんだろうか。
P7100071pt.JPG

初めて嵐山へ行った。
少年たちが石を川面に滑らせようとしていた。
片方が投げている間も、片方は石を探している。
青春だと思った。
P7080094g.JPG

あわただしい日々も過ぎ、久しぶりに渋谷へとやってきた。
横断歩道の前で佇む男性が、まるで何かの物語の主人公のようだったので、撮る。
ちょっと遠くから。
その後、「私が主役」というコンセプトを自分の中で作り、
街の中で、遠くから、非常に小さい主人公を撮った。
みんな、小さいながらも頑張っている。
その人の個性というか、歴史というか、そういうものが届かない距離でありながら、
小さな感情の波だけがこちらへとやってくるように思うのだ。

そして、最近の私は何かが違っていた。
iPhoneにしてからというもの、メールの誤送信は日常茶飯事だけれども、
留守番電話に録音がありますとかを知らせてくれる1414からのショートメッセージに
返信し、なぜ送信できないのかと自問。4度くらい試して、1414であるということに気づく。
夜、空いた電車で帰り、シャワーを浴びながら、2日ほどボディーソープで洗髪する。
シャンプーとボディーソープの容器が酷似しているのだ。
とりあえず、トリートメントはしておいた。
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あいこぱ。フランス文学研究から大いなる逃亡後、あっちへふらふらこっちへふらふら。趣味は読書と映画鑑賞。 写真も撮ります。最近はジョギングも始めました。二十代後半にして、内なるアウトドア志向に転換。2009年無二の知己「角ちゃん」とKWネットワーク始動。 月刊川にて大好評更新中。連絡はmail:aikopa@gmail.comまでお願いいたします。

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