日帰りで静岡県まで行って来る。
往復で12時間の電車の旅。
電車に長時間揺られると、邪念がゴトゴトとふるい落とされるような心地がする。
ペンパルに、藤森さんの建築をおすすめしたいと読み始めた本で、
すっかりはまってしまい、どれもこれも行きたくなってしまって、
でも、一週間くらいすると、その熱も徐々に冷めてくるものだけれど、
浜松市にある秋野不矩美術館は違った。
あの世のような空間という形容に、もうどうしても行きたくなる。
展示ギャラリーには裸足で上がり、ひんやりとする白い大理石の床、
四方を白い壁に囲まれた部屋で、小さな吹き抜け窓から、光がぽっと降りてきている。
インドを描いた秋野さんの絵が、広大な風景が、
ぽつぽつと展示されて、心の奥にこつんこつんと響いてくる。
天国というかあの世というか、神聖な気持ちになる空間で、
静かに佇むのだ、と。
秋野さんの絵に関して、とりわけ熱を上げているわけではないけれど、
ここでこうして鑑賞するということが、ただ見るより、
ずっとずっと良かった。
建物全体から、木の良い匂いがして、くんくんと空気を吸った。
ここで、寝ころんで、秋野さんの絵を、限りなく細い眼で見たいと思った。
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