無事、三十路を迎え、私が以前、姪っ子にあげた縫いぐるみを、
姉が欲しかったらもらってと言うので、もらう。
三十路にして、白カバを抱えて、部屋の中をうろつく私。
姪っ子よりはるかに軽々しい存在、そして、薄汚くなりつつある、
愛着の対象と、私はこれからどんな風に向き合っていくのだろう。
私を生へと繋ぎとめる、愛着とさりげない物語の数々、そして、
「厳密」の後に「大体」という観念を取り入れるということ。
それらがきっと私が二十代のうちに学びえたことなのだろうなと思う。
雨降りの後に、晴れ上がった日曜の公園で、紫陽花が光っていた。
私もこんな形の花に飛び乗って、温泉に行きたい。