一時は仙人になった方が良いんじゃないかと思い迷ったところ、
姉にまだ早いのじゃないかと止められたりもして、淡々とした日常の中で
ささくれだっていたように思う。
そんな中、昨日は涼しかったので、一日中窓を開け放していた。
午後三時をまわったあたりから、リコーダーの音が聞こえる。
隣のマンションの小学生がエーデルワイスやら何やらを吹いている。
こうやって、単音のあまり上手でない演奏が風に乗って聞こえてくるのは、
何とも心地良い。
そう思っていたら、なんだか私も吹きたくなって、久々にエーデルワイスを吹く。
私が吹き終わると、今度は向こうが負けじとエーデルワイスを吹き返す。
誇らしげに練習を始めたので、しばらく聞いていたけれど、
向こうのリコーダーが途切れた時に、私はエーデルワイスを吹き始めた。
すると、向こうも一緒になって吹いてきたのだ。
お互い面識はないけれど、家の境界線を越えて、アルプスの山奥の曲を
吹き鳴らす。エーデルワイス・セッション。実に、楽しい。
写真はベネチア、グッゲンハイム美術館の壁。