時折、私は猛烈にyoutubeで音楽を検索する羽目になる。
その一連の連想ゲームは、Silmarilsの曲から始まった。
tant que par l'ecnomieという歌で、97年に彗星のごとくやって来て、
J-WAVEのカウントダウン番組で毎週50位くらいでくすぶっていのに、
その哀愁のイントロから鮮烈な転換でロックするというところに、
フランスっぽさを感じていた。
そんなSilmarilsも数年後に、こんな歌を歌うことになる。
あの悪ガキっぽいサウンドはどこかへ消え、けだるい夏は
ベガスに乗り込み的なノリである。
こんなSilmarilsを誰が望んでいたのだろうと思ったけれど、
このノリもまた、私は嫌いじゃない。
そうそう。嫌いじゃないと言えば、
あのかっこ良くない音楽が好きだったと思い出した。
映画「猫が行方不明」の予告で流れている曲だ。
70才くらいのおばあちゃんがMerde!と悪態をついているのが、
チャーミングだなと思っていて、その後にぶわっと鳴り出す、
あまりかっこ良くない音楽。
その音楽を担当しているのが、Ceux qui marchent deboutという
フランスのグループ。Femaというタイトルの軽快なナンバーが、
見つけた中では一番良かった。
そういえば、セドリック・クラピッシュの映画は何本か見たけれど、
サウンドトラックがいつも素敵だった。
スパニッシュ・アパートメントのこんな曲もまた、
哀愁が深い。
スパニッシュと言えば、アンダルシアの彦星を先日、公開した。
危なっかしさの中に、謎の安定感があり、最後にはオチもついている。
と角ちゃんがメールで言っていた。私もそう思う。
すごい。何ということだろう。
私は2005年から読んだ本のタイトルを記しているのだが、
読んだことすら忘れていた本がいくつもあった。
『予告された殺人の記録』
年末には角ちゃんとこの本の話などしていたのに、
私は読んだことのないという大前提で話していた。
でも、思い返してみれば、うっすらと表紙の絵なんかは覚えている
ような気もした。
それから、『青ひげ』と『世界の涯まで犬たちと』。
『青ひげ』に関しては、私の好きなカート・ヴォネガットの作品で、
最近本屋で見かけた時には、買いたいとさえ思ってしまった。
『世界の涯まで犬たちと』は全然覚えてなかったので、
amazonで調べてみた。
表紙は見覚えがあるけれど、あらすじやレビューをくまなく読んでも、
さっぱりだった。完全に忘我の境地である。
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何かを書き綴るためのサイクルとして、また、
ここに記すことも、重要なのだと思う。
おねいちゃんの家で「ホーホケキョとなりの山田くん」を見て、
もともと、高畑勲のことを特別に好きという気持ちは抱いていなかったけれど、
大変良かった。姉に高畑勲は一言で言い表せないようなことを、
さり気なく描くと言っていた。
四コマ漫画のちっちゃなエピソードを巧みに構成して、
劇場版に仕上げるというのも、また、うならせるものがある。
特に、父が帰りに駅について、雨が降っている。駅まで迎えに来てくれと
電話すると、家族のみんなが電話ごしに行きたくないともめている。
それで、じゃあ、もういい、傘買って帰ると父が言うと、
母が肉も買ってきてと頼む。ふんと思いながらも、父、肉のパックと傘をレジに。
雨の夜をとぼとぼ帰ってると、向こうの方から、家族のみんながわいわい、
歩いてくるのだ。これには、じーんと来た。

それから、ジャームッシュの「リミッツ・オブ・コントロール」を見る。
「ナイト・オン・ザ・プラネット」、パリ編で寡黙な黒人ドライバーを演じていた
イザーク・ド・バンコレが寡黙な殺し屋を演じている。
ジャームッシュの映画は、それほど主人公がたくさん喋っているという
印象はないけれど、でも、この映画は、本当に全然喋ってない。
ジャームッシュのデビュー作「パーマネント・バケーション」を思い出した。
あの時よりも洗練されているけれど、あの時と同じくらい、文学的な匂いが漂う。
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ずっと前に購入してしまってあった、ホログラムのラベルに印刷して、
シールをこしらえる。ゴールドの名刺入れの裏に貼りつけてみた。
浦島パルテノン」の時に亀に乗った私と、
TANABATAA's NIGHTで上映した「アンダルシアの彦星」という
作品で暴れだした牛が闘牛士を襲い、巨大なリンゴとともに、
彦星の方へ向かってくるところ。ちなみに、彦星はブラジル人青年でした。
名刺が置かれているのは、プイグさんの「南国に日は落ちて」という小説。
南米の作家で、この人の別の小説「蜘蛛女のキス」はウィリアム・ハートと、
ラウル・ジュリアで映画化されていたのを、見たことがある。
その映画を見ようとした時に、「蜘蛛女」という映画を先に間違って借りて、
とてもがっかりしたような、よく分からない気持ちだった。
確か、ゲイリー・オールドマンとジュリエット・ルイスが出てた。
「蜘蛛女のキス」で想像される映画の内容は「蜘蛛女」にかなり近かったように
思うけれど、今、覚えているのは、
ウィリアム・ハートがオカマの役で、彼に気に入られる感じの
同じ部屋の囚人ラウル・ジュリアが、とても美しく、かっこ良くて、
ラウル・ジュリアというと、アダムス・ファミリーのお父さん役しか
印象はなかったので、驚いたということぐらいだ。
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今年のコラージュは、動物園で角ちゃんに撮っていただいた写真に、
フクロウをくっつけて、刑事ものみたいにしてみました。
斜め左下の茶色いうさぎは、うさぎを探して方々の動物園に通い詰めたものの、
白いうさぎが見つけられなかった為、採用された茶色いうさぎです。

昨年は、思い返してみると、あまり、日記を書いていなかったと、
気づきました。
忘れずに記すということ、
ある種の思考のストレッチとして、細く長く続けていきたいと
思っていますので、温かく見守って下さい!


あいこぱ。フランス文学研究から大いなる逃亡後、あっちへふらふらこっちへふらふら。愛読書はブランショ、百閒、ヴォネガット。写真、 コラージュもやります。連絡はmail:aikopa@gmail.comまでお願いいたします。

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