たびもふ : MOF

コップンクラップ、分からないだじゃれ韻の洪水、節水を呼びかけて

相変わらずパンを焼いている。パン囲い込まれ運動。
最近はというと、オリヴィエ・カディオさんに霧中だ。
お気に入りに入っているサイトを久しぶりに回ってみると、
ほとんどなくなっている。まぁ、そんなものだ。
それでカディオさんのサイトにも行った。カディオさんは、
フランスの舞台関係の人。詩とかも書いているけど、
フランス語の部分をよく読んでないので、分からないのだけれど、
映像があって、それを見ると、すごい。
確か三年前にお気に入りに追加した時もそう思った。
きっと意味も分かったら、面白いのだろうけれど、
分からなくても面白い。
retour definitif et durable de l'etre aimeという作品。
三人に分裂したラーメンズのナミナミ髪の人みたいな男性たちが、
パープルの背景の何もない舞台で、小気味よくステップを踏みながら、
何か詩のようなフレーズを口ずさみ、時に元気よくハモり、
だじゃれのような韻の洪水に戯れている。
他の映像も見た。机に向かって、足をふらふらさせながら、
小さな本を朗読しているのも、カディオさん。
意味は分からないけれど、観客側から時折笑い声が漏れる。

他に最近は、超酸っぱいパンを焼いた。まずかった。
CD-Rを焼くのに一苦労。すぐにパソンコがキコキコ言い出して、
ずっと入れたCD-Rが回転していた。
焼けてないかと思ったら、焼けていた。もう、うまく焼けなかったって
表面に油性ペンで書いてしまってから。あーあ。
午前四時半くらいに聞いたラジオでゲストの人が、
コップンクラップと相づちを打っていた。
まだ起きてない町にはそんな相づちがよく似合う。

おぼえていない椎茸

バロウズの『おぼえていないときもある』を読んでいる。
電車の中で読んでいたら、左手が腱鞘炎みたくなった。
腱鞘炎ってやつは利き手がなるものだとばかり思っていたから、
始めは何か痛いとしか思わなかった。けれど、左手だ。
やはりあまり日頃は使っていないのですぐに治った。
じゃあ、あれは腱鞘炎でもなかったのかもしれないとも思う。

マングースみたいなのがいる郵便番号7桁のハンコを衝動買い。
本当は妙にリアルな椎茸のハンコも買いそうになった。
場に困った時にポンと押す。椎茸。妙にリアル。
でも、でかかったから、存在感ありすぎだなっと思ってやめた。
椎茸に対してずっと何も感じてなかったけれど、
伝染るんです。に出てきた椎茸のキャラクターの発生の経緯は、
きっとこんな感じに似ていると直感的に思った。
もしあれが小さくて使い勝手が良さそうだったら、間違いなく買って、
意味もなくポンポン椎茸の模様をこしらえていたと思う。

おねいちゃんと一緒に行った若沖展。人々でギュウギュウだったけど、
おいしそうなカレーの雲とか、ニワトリとか、ちっちゃいやつとか、
黒い、お前ダレ？みたいな動物とか、白いゾウとか、とにかく
わからないやつらが素敵にどーんといて、良かった。

「む」という暗号に導かれ行き着いた先にヤギ

今日も他の週と同じように焼いたパンを入れた袋をドアノブに
提げに行く予定だった。
でも今日はおねいちゃんが家にいた。在宅だ。
風邪で会社を休んだのだった。
頼まれた飲み物などを買って行って、ピンポンを押すと、
ぼわっとしたおねいちゃんがひょこひょこ出てきた。
パジャマのおねいちゃんだ。
洗った手をその背中で拭きたくなるようなパイル生地だった。
押し入れにハイジに出てくる白いヤギが追加されていた。
おねいちゃんはやはり風邪なのか？終始ころんと寝ころがっていたが、
色々と話をした。久しぶりだった。
あと、おねいちゃんはポストカードに色々メッセージを書いてくれていた。
でも署名がない。ぽうぽ。とかで終わってる。
でも、だからって、おねいちゃんよりとか書かれても、
JANAIYA！って感じだから、むしろ、そもそも？署名なんてなくて
いいのかもしれない。とも思った。

夕方、おねいちゃん宅を出て、国際フォーラムの広場でやっている
ネオ屋台村スーパーナイトに行った。
数日前から行きたくて、それはつまり私が大いなる孤独、
群衆との緩慢な一体感を味わいたかったからだ。
でも行ってみて思ったのは、そこでは誰しもが大いなる孤独を
感じているのかもしれないけれど、見かけ上、それは炭酸水にも
似たぽうぽうとした空間を作り上げて、数々の長蛇の列の隙間から
アラジンの夢のような音楽がパポペポポ〜と聞こえた。

クレソンとクムタと午前一時の甍作り

昨日、コップ式の自動販売機でコーヒーを買った時に、
コーヒーを取り終える前に自動扉が閉まってしまった。
自動販売機の連絡先に連絡すると、少々お待ち下さいと
言われた後に、コッカコーラ！コッカコーラ！という陽気な
着うた風の音楽が流れて、むかつくどころか、妙に励まされた。
代金を家に返金してくれるという。たった60円。

スター・ウォーズのウクレレカバー集のCDを、おねいちゃんに
相談して衝動買い。その時点で衝動かどうかは謎だけれど、
買わないで後悔するより、買って後悔する方がきっと良い。
気の抜けたダース・ベイダーのテーマが、ちゃんちゃこ言っていて、
試聴してる段階で顔がほころんだ。

写真はジューサーでがーっと混ぜて作ってくれたジュースだ。
二つ。見ての通り。
丸ビルの高いところから壮大な東京のビルジャングルをバックに。
うっすらと川も流れてる。
ちなみに私はクレソンとヨーグルトとメープルシロップが入っている方を飲んだ。
写真では逆光で青汁みたいになってるけど、実際はパステルカラーだ。

パンを焼いてばかりいたら、バッグの中からパンの匂いがした。
週の半分はパンを焼いてばかりいた。
合間にアラン・ロブ=グリエの本を読む。
この調子で行けば、あと二ヶ月くらいで読み終わる。
クムタの話は何だか遅々として進んではいるものの、まだ駆ける段階には到達せず。
まるんまるんとパンを丸めてばかりいる。

おばあちゃん家に行った際におねいちゃんと少し会う。
何だか慌ただしいと、何を話して良いのか分からなくなる。
あうあうってなって、ふがふがふがってなって、
結局帰ることばかり考えていた。
土浦に着いた後に見る夜の闇は本当に闇だ。
ちゃんと暗い。暗い空間は必要なんだと思った。
ものをちゃんと見るためにも。

人間は一体、何をしているのか。

寝たり起きたりしている。
長崎の平和宣言に対して、私は咄嗟にそう思った。
私はまさに寝たり起きたりしているし、他の人の多くだって、
寝たり起きたりしている。
人間は平和に向かって寝たり起きたりしているのだ。
それがどんな効果を生み出しているのか分からないけれど、
地球は着実に温暖化しているし、張り巡らされた光の線の中を
情報がぐるぐる回ってるし、うちの庭の木はいつの間にか
二階のベランダの縁からひょっこり顔を出している。
私はというと、私は寝たり起きたりを繰り返しながら、
パンを焼いたり、積み上げられる甍のような皿を洗い、
たまにアラン・ロブ=グリエの本を読んでいる。
そして定期的に人に会いに行き、フランス語を話し、
Tシャツの首元がダルダルな先生の名前を覚え、
帰ることばかり気にしている。
今週はそれに加えて、ウォレスとグルミットを見た。
ウォレスとグルミットのことは大体分かった。
つるんとかわいい白いわんこのグルミットは、無口でちょっと
気難しいんだけど、涙もろいところもあって、本当に良いやつで、
編みものが好きで、寝る前にベッドの上でちゅんちゅくセーターとか
編んだりして･･･。
ビジュアルのみから受ける印象よりも、動くことによって、物語の中で
生きることによって初めて発生するかわいさがあると思った。
それとこの前会ったユリコさんは、本当に視力が良い人なのだけれど、
近視の方が老眼になった時に便利だから、35才くらいになったら
目に悪いことをしようと思って・・・と言っていた。
そんなユリコさんとは、何だかんだ言って、よくカレーを食べている。

むの次にぱ

私はこんな絵を描いていた。
マウスのカーソルが触らなくても、ぶるぶると震えている。
デジカメの液晶保護フィルムを机に貼ってから、
そっちが貼る方だと気づいた。
カウリスマキのコントラクト・キラーを見に行った。
大画面と闇に埋もれる観衆の中から漏れる失笑。
まさにカウリスマキ・スペクタクルだと思う。
ジャン=ピエール・レオーがマルック・ペルトラみたいだった。
明け方、ジャームッシュの映画に出てくる女性について、
考えて、それから寝たら、
ニコレッタ・ブラスキが夢に出てきて、話をした。
どんどんフランス語になっちゃう英語で。
何だか素敵な夢。
ヤン=アルテュス・ベルトランの写真集もやって来た。
ここらへんまでは、色んな人に話した。

白い
毛むくじゃら
雑多な擬音語で示されるリズム
聞き間違いのような言葉あるいは
イメージの流星群
む
ぱ
っ

おそらく私にとって外せない、私の物語の要素なのだと
考えていた。これを遵守して書けば、もしかしたら、
みょーんと伸びていく歴史小説も、サスペンスも、
みんな、むの次にぱ、になるだろう。と思った。