December 20, 2006

スキャンされ続ける人生、?を内包する

スキャナー・ダークリーを見てきた。
リチャード・リンクレーターの実写風アニメ。
キアヌ・リーヴスが出てる。原作はフィリップ・K・ディック。
麻薬のおとり捜査官キアヌ(キャラクター名は忘れた)が、
潜入捜査をするものの、物質Dの中毒になって、幻覚も見るし、
自分を監視する二重生活で、果たして、自分は誰なのか。
そして、リハビリ施設から山の見える農園に送られるという話。
果たして、自分は誰なのか。という疑問を発する上で、
おそらく、キアヌ・リーヴスより右に出るものはいないだろうと思う。
彼は演技派ではないし、これからも決して演技派にはならないと思うけれど、
それは彼が常に?を内包するからなのだと思う。
それが最大限の魅力であり、それを生かさなければ、
ただの演技の上達しない一俳優でしかない。
いや、上達してないわけじゃないんだろうけど、そう見えても
ちょっと仕方ないくらい、あんまり上手くなってない。
それよりも、彼がこの10年、いや、それ以前からの彼の
キャリアの一直線上で、彼が成し遂げてきた、
闇雲に彷徨いながら紡いできたストーリーは、
果たして、自分は誰なのか。
その問いに向き合いながらも決して答えを出さない、ということなのだと思った。

+ + + +
ただこの映画はたぶん笑える映画ではないのに、
医師による認識テストで、白と黒の線の間に隠された像(シルエット)が
何を表してるかを答えるっていうテストを受けてる時に、
羊、羊だと思う。とキアヌが答えたときに、
どこが羊に見えるのかしら?ってふふって笑われて、
惜しいとこまで行ってる?ってキアヌが聞くと、いいえ、犬よ。と
言われて、落胆しているのは、なぜだか笑った。たぶん私だけ。
子羊にもかなり見える絵だったし、いいえ、犬よ、あなたは完全に
イカれてるわ、っていう雰囲気が笑えた。
あれは落胆するほど、犬っぽくはなかったと思う。

投稿者 aikopa : December 20, 2006 11:01 PM