February 18, 2004

季節がやってきた

カンヌでグランプリと女優賞を取った「過去のない男」を見る。
アキ・カウリスマキ監督。カティ・オウティネン。
これは本当に面白かったし、アキ・カウリスマキ監督の傑作
と呼んで良いと思う。
この作品が表現しているものは、たぶん、幸福という枠にギリギリ当てはめることが
できる境界線のギリギリの場所にある幸福だと思った。
ささやかなという形容よりむしろ、ギリギリ認めざるを得ない幸福だ。
アキ・カウリスマキ監督の映画の面白味は、あの登場人物の
妙な動きにある。不自然でどこか気まずい。
言葉が少なく、登場人物はさっさと別れていく。
そして、強引に限りなく近いストーリー展開。あっという間に物事が解決する。
諦めが肝心だと言わんばかりの諦めの良さ。しょうがない。
私にもとうとうアキ・カウリスマキの季節がやってきたのではないかと思う。

投稿者 aikopa : February 18, 2004 11:58 PM