April 11, 2004

遠吠えの間に間に

空虚とは何か。
それはおいしそうなタンポポのおしべ達。
さよならの語源を探るベルガモットの香り。
気品の漂うハリモグラの足取りが
ドアの向こうに迫りつつある悲劇。
散歩に行ったきり戻ってこなかった
飼い主と迷子になった犬。
犬はもうすでに孤独ではなかった。
白い光をか細く支える窓枠が
手に手を取って駆け出し、
迷子になっった犬の放り出された
美しい庭園の壁となった。
花々の移ろいやすい香りを全面に称え、
しかしその感情をやさしく包み込む、
そんな牢獄でもあったのだ。
迷子になったのは迷子のせいじゃない
迷子を導けなかった道のせいだ
もしあの子が迷子になっていなかったら、
この繰り返されるスローテイストなジョビに
逃げ去ることのできない高貴さを
与えていただろう。
犬が私を代弁する。

+ + + +
シュルレアリスムに関する本を読んでいたら、
また詩を書きたくなって、書いてみました。
犬、やはり犬が永遠の共感の対象です。

投稿者 aikopa : April 11, 2004 1:10 AM