June 22, 2006

アリクイがむくっと起き上がると

くんぱちさんが手慣れた様子で焼き鳥の串を
くるくるとひっくり返している。
分けが分からずに目を丸くしていると、くんぱちさんが
声をかけた。
「ん?起きたかの?白いの。」
「くんぱちさん?」
「いやいや、私はきんぱちだよ。」
何と、くんぱちさんは双子だったのだ。
「くんぱちは弟で、私たちは五つ子で生まれてねぇ、
上から、かんぱち、きんぱち、くんぱち、けんぱち、こんぱちって
言うんだがの、今でもみんな、仲良しでよく会ったりしとるの。」
アリクイはくらくらした。
五つ子だ。
くんぱちさんが五人もいる。
「そんで、くんぱちが白い、毛むくじゃらのやつが手伝ってくれてるって
言ってたからの、ほら、お前さん、市電の前でぱたっと倒れとるから、
くんぱちんとこの白いのじゃないかと思って、ここまで運んできたのだよ。」
「あいよ。」と言って、
くんぱちさんのお兄さんは焼き上がったばかりの
「さ」から始まる焼き鳥を出してくれた。
聞いたこともない名前だったので、忘れてしまったが、
世界には何だか分からなくてもおいしいものがあるんだと
アリクイは思った。

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スローターハウス5も読み終わってしまった。
こっちはチャンピオンの朝食より悲しい話だった。
「プーティーウィ?」
みたいな最後のフレーズにやられてしまう。
戦争の、おそらく悲惨であるだろう体験が
この訳の分からない音群によって、
吹き飛ばされてしまう。
そういうものだ。
と彼は書く。何度も。

今日は朝と晩にこうや豆腐を食べた。
今夜もカレーだった。もう少しでなくなりつつある。
お風呂に入ってから、水を溜めて、しかも入浴剤を入れてから、
冷たいことに気づくまでは、今日、私の好きな悪態をつかなかった。

投稿者 aikopa : June 22, 2006 8:58 PM