June 2, 2006

食べ終わって周りを見渡したミッチャン、付録は「む」について考える

気がついてみると、店にはミッチャン一人だけになっていた。
随分長いこと、皿と向き合いすぎていたのかもしれない。
カウンターの端っこでアリクイと板前のおじいさんが並んで
何やら、こしょこしょとやっていた。
どうやら話が盛り上がってるのか、はたまた間延びしているのか、
床に届かないアリクイの足がぱたぱたとしていた。
ミッチャンが立ち上がって、「すいません、会計お願いします。」と
言うと、くんぱちさんは、
「はいはい、ただいま」と言って、小走りでやって来た。
カウンターのアリクイもくるっとこちらを振り向いて、ヨイショヨイショと
椅子から降りてやって来た。
会計を済ませると、「毎度ありがとうございます」と言ったおじいさんの
隣でアリクイがぺこっとおじぎをした。
ミッチャンもつられて、おじぎをしてしまう。

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昨夜はクラスの食事会に行ったら遅くなって、家に帰ると11時半だった。
二十日酔いだ。ずいぶんとはしゃいでいたように思う。
薄暗い店で、何やらにこやかな、時間を過ごす。
好きな言葉は?と聞かれて、「む」と答えたけれど、
数人のクラスメートが「無」かと聞くので、
いや、「む」だと私は思った。
漢字変換される「む」のすべての意味を合わせて好きなんですと
説明したけれど、上手く伝わったかは謎。
第一、漢字変換された「む」は好きかどうかも謎だ。
む。むーむ。ム。ねむねむ。ネムネム。むくむく。
くんむくんむ。おねむちゃん。むんとこどっこいしょ。
むはむは。むしゃー。むしゃむしゃ。むーむ。むうむう。むうむう。
もう私は「む」の音と形が好きで好きでたまらないのだと思う。だから、
そこにはおそらく思想が「無」なのだと思う。
私が「む」と言っている時、むうむう言っている時、
そこにはもう言葉すらない。

投稿者 aikopa : June 2, 2006 7:47 PM