June 15, 2004

ガッジョ・ディーロの午後

日曜は、おねいちゃんに会いに行くのをやめて、「ガッジョ・ディーロ」を見る。
確か「ジターノ」と勘違いしていたことに気づいた。
ガッジョ・ディーロ。ロマ語で「よそ者」という意味のタイトル。
ルナ・ルカというロマの歌い手を探すフランス人青年の話。
青年が雪景色の中をぐるぐる回り、ロマ風の歌が流れるイントロには、
心をぐるぐる揺さぶられた。
なぜあそこで青年がぐるぐる回ったのか、初めは分からなかったが、
たぶんそこには深い意味があったのだと思う。
ロマの人々の踊りの中に、回るということが大きな位置を占めている。
人々がぐるぐる回る。ただそれだけでこれほどの様々な感情を表現している。
素晴らしかった。
私がロマに惹かれるのは、つまりこういうことなのだなと思った。
ロマは、自分の今の感情を、儀式(それは歌であったり、楽器であったり、
踊りなのだが)を通して、その流れる時間に感情を湧き上がらせてくる。
自分の言葉で表現するのではない。その土地に根付く、歌であり、
メロディーであり、リズムであり、踊りを通して、湧き上がらせてくるのだ。
トニー・ガトリフ監督の「僕のスイング」も見たい。
それもまたロマの話だ。

投稿者 aikopa : June 15, 2004 12:35 AM